大阪フィル創立70周年記念 第55回大阪国際フェスティバル2017
バーンスタイン「ミサ」

2017.07.15
大阪府 : フェスティバルホール
午後 2時開演

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関連新聞記事◆2017/06/15朝日新聞・大阪夕刊[PDF] 2017/06/23日経新聞[PDF]

バーンスタイン「ミサ」(新制作/原語上演・日本語字幕付き)

総監督・指揮・演出/井上道義
照明/足立恒
美術/倉重光則
振付/堀内充
音響/山中洋一
副指揮/角田鋼亮
合唱指揮/福島章恭
児童合唱指揮/大谷圭介
舞台監督/堀井基宏

キャスト/
大山大輔、小川里美、小林沙羅、鷲尾麻衣、森山京子、藤木大地、古橋郷平、又吉秀樹、村上公太、加耒 徹、久保和範、与那城 敬、ジョン・ハオ ほか
ボーイ・ソプラノ 込山直樹(オーディション選抜)
管弦楽/大阪フィルハーモニー交響楽団
合唱/大阪フィルハーモニー合唱団
児童合唱/キッズコールOSAKA
バレエ/堀内充バレエプロジェクト、大阪芸術大学舞台芸術学科舞踊コース

ミュージック・パートナー/佐渡裕 ※出演いたしません

主催:朝日新聞文化財団、朝日新聞社、大阪国際フェスティバル協会、公益社団法人大阪フィルハーモニー協会、フェスティバルホール
協賛:朝日放送、関電工、京阪ホールディングス、コクヨ、高砂熱学工業、竹中工務店、凸版印刷、西原衛生工業所
協力:大阪芸術大学

[チラシPDF]

チケット: S 9,500円 A 8,500円 B 7,000円 BOX 15,000円 バルコニーBOX 19,000円(2席セット・電話予約のみ) 学生席 1,000円
演奏会お問い合わせ先: フェスティバルホール TEL: 06-6231-2221

【道義より】

The mass is ended go in peace・・・・・とバーンスタインは作品の最後に書いた。
これは当然、天才であった彼の世界への希望であり、合衆国への警告でもあり、
作品のライトモチーフだが、同時に彼自身の 明日・・・・
(書き終わった日からの)への決意だっただろう。
その本当はテープで流される言葉を今回、僕自身が、演出の時に使うマイクで
言わせてもらった。
そう!僕も今、すでに、金沢に居て、エスケシュの新作オルガンのイメージを
塗り替えるような、まるで打楽器コンチェルトのような作品初演で、アタカも
命綱なしのロッククライミング中。
でもやっと一昨日終わったミサについて書く時間が出来た!!。

長くなる!!

今回は、当然だが2日目が1日目の、(14日も充分素晴らしかったが)、
15日の2日目は2日通して(投資て?)聴いた人に言わせれば、10倍、
細かいところまで、説得力があって、間違いなく、作品の歴史の一番優れた
記念碑になった。これは出演したすべての人、すべての裏方、見て聞いて
くださった、全ての方々のお陰です。大フィル関係者全員に心から感謝!
こんな歯が浮くようなおべっか語は、選挙後みたいで、死ぬほど嫌いなので、
過去に書いたことが無いと思う。
第九やマーラーの千人の交響曲やショスタコーヴィッチ全曲演奏の後にも、
野田さんとのフィガロやイリスや、ありとあらゆるチャレンジングなコンサート
やオペラの後にも言えなかった。
でも繰り返す!今回は参加した人の0歳の子供から97歳で入院中で見に来る事が
出来なかったこのフェスティバルを始めた村山美知子さん、
また生きていたらどんなにキーボードやオルガン関係の処理が楽に進んだだろう
と思える・・・鈴木隆太君・・・・を含め

               皆さんのお陰です。
神に感謝、ではないです。

この素晴らしい多くの人の愛情満ちた上演をテレビ録画が出来なかったのは、
ひとえに未だに、この作品が偏見の中にあり、無名でありそれに対して
放送権料が莫大であるという、ジレンマがあり、大変残念です。
レニーはきっと残念がると思います。こういうことを書くと、
また演奏差し止め命令が発せられるかもしれないですが・・・・。
私は、生きている、レニーを愛する人のために演奏したのではなく、
生きていたレニーの魂、すなわち彼自身の芸術家として生きた本質と
正直な人間観を具現するために骨を折りました。再現芸術家も芸術家ののために
働く人もそこを間違ってはいけない。
自分のものにする事=愛そのもの、ではなく、それはそこへ至る道筋に過ぎない。

この後。もっと長くなるが、今は断崖絶壁に片手でぶら下って書いているので
ここまで。また明日!!!

さて早朝、続き!
この作品をやるきっかけは、23年前の大竹しのぶに野田秀樹がほれ込んだことが
きっかけだ。ふふふ、
もともと文化庁のお金でイギリスに留学?した野田さんはこの作品の演出を依頼され、
何故か僕は指揮を頼まれた。その時、もう引っ込みがつかなくなったギリギリで、
恋に夢中の彼はコストパフォーマンスの悪い
〔たった2公演のために8000万もかけるなんてやってられない!!夢の遊民社
時代から、一企画、億以上のお金をかけるし、公演回数は一企画最低30公演ほど
だったのだから公演に、今の大切な時間は割けられない!〕というわけで降りてしまい、
文化庁が「井上さん何とか全部やってください!下駄預けます!」だったのだ。
その頃、僕自身は新日本フィル中心に演出を続けていたから、ストンと提案を受ける
気になったわけだ。
今回、その時の古い記録ヴィデオテープを見た大フィルの事務長が、まずこれを大阪で
(トウキョーでなく)やろうと言い出し、それが大フィルのスポンサーであった
関西電力の原発停止などで資金的に不可能になり、
それを大阪フェスティバル協会➡朝日新聞文化財団がこれぞ、
伝統ある大阪インターナショナルフェスティバルに相応しい!!と主催を買って
出てくださったのだ。今回その主催の方々の素晴らしい行動力には大感謝。
結果これがよかったのだ!こういううチャレンジ精神が大阪から逃げ出して久し
かった!お客さんの中にこれぞ大阪国際フェスティバルだとの声がたいへん高い。
大フィル70周年だけれど(僕も70才だ)東京で出来ないことを大阪だからこそ
やれた、数少ない出来事だったな。次にこういうのは誰がやるんだ!!??
合唱は死にそうに難しい変拍子と格闘した大フィル合唱団、若くないメンバーは
どんなに苦労したことだろうか!?
なんでも暗譜でやる東響合唱団並みの仕事をやったが、指導の福島章恭氏にとっても
大きなチャレンジだったと思われる。
また今回一番人気の子供のコーラスは全員オーディションしたので、
みんな素晴らしい能力ある、個性あふれる子供達だった。
既成の少年合唱団では教育委員会が、「夜は公演何時まで、学校は休ませるな!」
と長い人生の中、子供に何が大切かを誤解して、規制をかけてくるので共演不可能だった。
が、そこで今回、未来の主役ともいえる、ボーイソプラノ込山直樹12才の発見に
結び付いた。これがどんなに稀有な出来事か!!子供の声は一瞬で声変わりする。
あまり幼すぎる子供では、役柄の重責は担えない。中途半端な反抗期以後の年では
バーンスタインのこの作品に相応しくない。これだけは神の采配!
彼、真に素晴しかった。そして咲妃ちゃん桜ちゃんの御伽噺から出てきたような
キューピット、そして将来は大役者になりそうな、子、歌手として生きて
いきそうな子、大会社の社長になりそうな子色んな未来が輝いて、
このともすれば暗くなりがちな作品を救ってくれた。

今朝はここまで。また続ける。
昨日金沢で超難しい素手での岸壁のぼり風作品をOEK全員汗だくの仕事を終え、
今から松本へ移動。これから書きつなぎます。何故か以前から非常に疑問な
北陸系のJRはグリーンが階段やエスカレーターから最も遠い端っこ。
高い金出して何故端っこに荷物をもってエッチラオッチラ歩かねばならないか
意味不明。雑談でした。さて、本題。

今回の演出は、バーンスタインを主役の司祭として表し、合衆国初の、
米国育ちニューヨークフィル監督としての役目を終えた後に書かれたこの作品
を、現実と絵空事との合体を試みました...それは成功した。
一番難しかったのが、曲の始まり方。彼は伝統的には在り得ない、
テープ演奏の暗闇から始めている。そこで、演出の案として、はじめは
大阪でやるのだから、ご当地で大変知られたバーンスタインの愛弟子
佐渡裕君と大植英次君に司祭の侍者の役で出てもらいたかったが・・・
そんな暇ではない・・・そこでそっくりさんを探したが結局似ていなかったし、
そんな内受けなアイディアは観客からは、失笑を買うだけかとも反省し
70年代には流行だったジュークボックスで「有名な作曲家」である、
バーンスタインを見せ、大山君に極力彼に似たメイクと衣装を着てもらった。
実はこれがかなり大変で、自前の髭は剃ってもらったし、顔も整形してもらった(嘘)
その大山さんは本当に素晴らしい主役を歌いきり、演じ切ってくれた。一生忘れない。
衣装のみどりさんはゲネプロの日に彼のためキザな白ズボンを求めて三千里!!
でもそれでやっと「ああ、あの人レニーなのね!」と受け取られたのだ。
そしてて徹頭徹尾大山さんは司祭とバーンスタインを行き来した。
演じるという事は、歌う事と別に多大なる才能と努力を要求される。
彼はその点、稀有な人だ。歌は死にそうに大変。
がんらい英語というものはオペラ歌手に必要な言語とは言えない。
イタリアががまず第一外国語、そして、ドイツ語。
しかし英語は今や世界の意志疎通語。なんだかんだと、人に批判されやすいから、
大変。
特殊技能の若い英語マスターにストリートコーラス全員の発音指導してもらった
が、その子は大山さんの歌の弟子という主客転倒な出来事。文字通りこのような上演の
成功のためなら人は何しても良い!という見本・・・・か。

小林沙羅、森山京子、鷲尾麻衣の芸達者な素晴しい女性歌手が参加してくれ、
ハイCをものともせず弾けまくった村上公太、英語が上手く二役を歌ってもらった
加来徹(本当の漢字が出せない)と、甘い声の又吉秀樹には最後のロマンティックな
部分を受け持ってもらった。バーンスタインの青年時代の回顧の女声の部分を
藤木大地は存在感強く歌ってくれた。
与那城敬は得意の悪役でなく、カウボーイハットでブルースを歌ってくれた。
文字通り強いキャラクターの中国出身のジョンハオには異邦人としてのセリフを、
小川里美は主役公演のノルマ後、ふぬけだったが、本番では思った通りの
ネジレタキャラを(本人は本来の自分の引き出しにはないという!)演じてくれた。
古橋郷平には関西弁の若者がピタリですッばらしかった!
今回は、二三年前に舞台を受け持った菅原さんというザスタッフという会社の
人にアートクリエーションと共同で参加してもらいたいと始め思ったのだが、
この業界も、新日フィルと日フィルのように生き方が違う方向になると、
元の鞘に収まるのが難しい様だ。そんな分断の世界のための内容なのだが。
今回粘り強く舞台を滑らかに動かしてくれた堀井基弘は几帳面で、素晴らしい
舞台模型を二度も作ってもってきてくれた。あれが無かったら花道に金管と木管を
置くという決断も出来ず、フェスバルホールの広い舞台も狭くなっていただろう。
しかし彼は異常な高所恐怖症で滑り台から少年が7メーターの滑り台を滑り降りる
ことに異常にこだわったのには閉口した。
僕も馬鹿で、そういうことを知ると、其処をどんどんイタブル。
僕にしたって今思うと滑り台の手すりを30センチも作らなくてもよかったと分かり、
人間の固定観念の存在に愕然とする思い。
とは言え、この俺の独断に怒り狂わないで良くやってくれた。
確かに前から滑り台と観客に気付かれず、終幕で十字架の上から少年が降臨した
場面はアッと驚くことだったと思う。

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そうそう,機内持ち込み不可能!な「銃字架」も彼の手作り!
演出助手の橋詰陽子は今や俺よりこの作品に詳しい。
堀内充さん振り付けのダンスは一組はモダンバレエ風な東京組と、劇場ダンス風な
大阪芸大組とが文字通りバーンスタインが描いた
[A theater piece for singers ,players and dancers]
を具現化した。これは、僕の知る限り世界中でまだやられていない。
振付アイディアはダンスの音の取り方や、出方、意味付け、衣装、まで
僕のアイディアで、がんじがらめで充さん、申し訳なかった。
そうそう、歌手達の戦いのダンスは僕の振り付け。
もう一場面、「分断の場面」では文字通り舞台下手半分が堀内さんの振り付け、
上手半分が僕の振り付け。どっちが良かったとはだれも言わない・・・・お上手。

この舞台のセンスをあそこまで高められたのは何と言っても旧友畏友の足立恒氏。
もともとバレエの照明の専門家であるせいか僕と気が合う事夥しい!!
物凄い粘りと、物凄い細かさが、演じる出演者の喜びを2倍にしてくれ、観客は
3倍格の違うイメージをもって家路に着ける。ネオン管と不思議な存在の青白く
光る魂を製作した倉重光則さんは、三浦半島の大きな倉庫に住んでいる光のアーティスト。
あの不思議な光る存在はこの作品で最大に生きたと信じている。
提供していただき感謝します。皆あの作品の意味をめぐって話が絶えません。

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困難な多チャンネルの音響を一手に引き受けた山中さん佐藤さん。
一日目には確かに大きな原因不明な事故があったもののあなたの存在なしには、
バーンスタインのこの作品は不可能で(小さなオケの版もバーンスタインお墨付きで
存在しますがマーラーのシンフォニー室内楽版などと同じでこのスケール感が
この内容には必要だ)頑張ってくださった有難う。
子供たちを信じられないほど生き生きと僕のアイディアに近づくように、指導した
大谷圭介さんは大した才能。あのグループを捨てたくないだろうなあ!
最後に途中まで祭壇の中に隠されていた、白いグランドピアノの事を書く。
あれは三木鶏郎さんの遺品で偶然僕に彼の記念館からその生末を任されたもの。
今回天使が降り立ち、また司祭がその上で四転八倒苦しんだ。天で笑っているはず。
大阪で、この演奏内容のロックバンド、ブルースバンドをまとめてくれた江森文男さん
ありがとう。ここはニューヨークでないとの思いも時に感じたが、これからも
大阪をよろしく!そしてバンドに、予算の大きな部分を割くことが出来なかった
我々の認識不足を反省します。でもこの事はバーンスタイン自身に言いたい!
世界的には誰もがアメリカのようにクラリネット奏者がサックソフォンを吹けるわけ
ないし、この複雑なスコアの変拍子を理解し楽譜を読める軽音楽系?
人材は「世界の常識」ではないと!アメリカの常識が世界の常識であるべきという態度は、
彼の中にも実は潜んでいたという事を。
貴方は、才能に恵まれているが、皆がそんな才能を持つわけではないという事を生前、
理解せず、音楽指揮の練習中、多くの人々とぶつかり合っていた。
それは何処か自己中心的である意味「アメリカ的」であったと。

でも生前批判にさらされた、この作品は、今こうして愛されながら演奏され、踊られ、
演じられ、感動と共に人々に届けられた。僕はショスタコーヴィッチの全交響曲作品も
そのように演奏してきた。
僕はそれでよかったのだと思っている。
AND IT WAS GOOD!!AND IT WAS GOOD!
ミサは終わりました、平安が訪れます

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シバシ、夏休み前に・・・・・
アアア、最先端オルガンコンチェルトでの旅という無謀な3日間が!!
いまバシバシ続く

道義




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ショスタコーヴィチ交響曲全集 at 日比谷公会堂
「今はショスタコーヴィチは僕自身だ! 」と語る井上道義2007年に成し遂げた「ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会at日比谷公会堂」。 日本人指揮者唯一の偉業となる一大プロジェクトをぜひお聴き下さい。

Schedule

降福からの道 欲張り指揮者のエッセイ集
「僕の人生、音楽だけではないが、正面から指揮をやってきたらこれほどの発見があったことに驚いている!」

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ショスタコーヴィチ:交響曲 第7番 「レニングラード」

大阪フィルハーモニー交響楽団

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ショスタコーヴィチ:交響曲第11番「1905年」

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チャイコフスキー:交響曲第4番
ショスタコーヴィチ:ロシアとキルギスの主題による序曲

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