千葉県少年少女オーケストラ 第23回定期演奏会

2019.03.30
千葉県文化会館 大ホール
午後 2時開演

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ショスタコーヴィチ : 交響曲第1番 ヘ短調 Op.10
モーツァルト : ピアノ協奏曲 第9番 変ホ長調 K.271「ジュノーム」/小曽根真[Pf]
伊福部昭 : 管弦楽のための「日本組曲」より「盆踊」「七夕」「佞武多」

千葉県少年少女オーケストラ
音楽監督:佐治薫子

[フライヤーPDF]

チケット: 全席指定 1,000円
演奏会お問い合わせ先: 千葉県文化会館 TEL:043-222-0201

【道義より】

千葉少年少女オケは、追い詰めていくと
アンサンブル金沢並みのモーツアルトが出来る。
東京交響楽団並みの伊福部が出来る。
ショスタコ1番はシモンボリバルより禁欲的な孤独な青年の音が出せる。
そのことを今回サントリーホールで人は体験したはずだ。
でも・・・きっと・・・でも東京の事だ・・・・みんなもう忘れているに違いない。
そうなんだ、サントリーホールはお祭り広場。
華やかさという魅力ある環境の中、春のお花見のように、全てはビールの泡、
発泡酒のバブル、美しい仲の良い姉妹の記憶と共に、過去のものと
なっていくのだ。

しかし、千葉の160人の子供たちの心の中には、決して消える事のない、若き日の
完璧に美しく気高い、今日という日が、三島由紀夫の文章のように、
華やかに刻印されているんだ、
と、風邪を隠しながら死に物狂いで指揮をした、今はディズニーランドの
ある舞浜で60年前、潮干狩りをしたことが忘れられないミッキージジイは
信じ切っている。

83歳、清水の舞台から飛び降りてもどこも折れそうもない骨太の
心が真っ直ぐなサイのような、このオケの創始者佐治薫子お姉さまは、
本番3日前の練習で「初めて本物の音がした」と超正しいコメントをおっしゃり、
「これを何とか本番でもお客さんに届けるようにしないと...どうしたらよいか
考えよう!」と、これも超プロフェッショナルな指導者的発言。
僕は、そうだなと同じことを思いながらも、同時に「なる様にしかならないさ」
と思っていた。この辺が道義坊ちゃまの限界、本番が終わってから4時間でも
ピアノを弾き続けるマルタアルゲリッチ嬢達の高い領域には、向かわない向えない。
演奏ならぬ遠足に行く前の小学生的お天気任せの植物的性格。

でも神の力、当日は見事に晴れ渡り、求心的な音楽には不向きなワインヤード型
ホールの「心地良い響き」の中にも、天才19歳のショスタコーヴィッチの屈折した
音楽は峻立したようだ。
減点主義のアカデミックな教官達を泣かせるサーカスティックな運転で、
免許試験を満点クリヤーした天才ライダーのようなクラシカルな前衛作曲家。
その音楽を今、同年代の「ただの千葉の子供たち」が手品のように、一人一人が
ジョーカーを演じ、観客をひれ伏させたのは、何度も渋滞にめげず練習に通った
俺としても小気味よい経験だった。もちろん2007年に日比谷公会堂で、
サンクトペテルブルグのメンバーを震撼させたときの皆のことも忘れてはいないが。
あの時の子供は皆大人!元気だった道義もジイさん。協力した梶本のメンバーも
離散・・・・。


21歳のアマデウスがダンス教師の娘ジョアンニ(ジュノム)に惚れて書いたと
いわれる9番のピアノコンチェルトを、近代的スタインウェイのもつ、古い
フォルテピアノと違う打鍵の深さに苦労しながらも、危険な速度で花見客を睥睨し
ながら疾走するフェラーリドライバー小曽根真は初演さながらの自由奔放な演奏。
メヌエットはまるで3匹のダックスフンドを連れた淑女のダンス。

後半はやはり19歳のころ伊福部昭がピアノ曲として書き留めた、農民中心の
民衆の祭りの音画を,羽目を外すことにおいては、生まれる前から人に負けない
正義の味方の老指揮者は、サントリーのお客様の客席に子供たちは満ち溢れさせ、
最後の平成の世に、カラヤン広場、果てはお堀端まで、アイヌコタンからの佳曲
の音の吹雪を舞わせ、真に喜ばしい1日となりました。あと2、3年はね。


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「今はショスタコーヴィチは僕自身だ! 」と語る井上道義2007年に成し遂げた「ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会at日比谷公会堂」。 日本人指揮者唯一の偉業となる一大プロジェクトをぜひお聴き下さい。

Schedule

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