東響 第688回 定期演奏会

2021.03.27
東京都 : サントリーホール 大ホール
午後 6時開演

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ベートーヴェン : ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 op.58 / ネルソン・ゲルナー→北村朋幹[Pf]
ショスタコーヴィチ : 交響曲 第6番 ロ短調 op.54

東京交響楽団

■出演者変更のお知らせ(2021年3月8日付)
https://tokyosymphony.jp/pc/news/news_4466.html

■ニコ響無料生配信
https://live.nicovideo.jp/watch/lv330871464

主催: 公益財団法人東京交響楽団
特別協賛: 株式会社エイチ・アイ・エス

[フライヤーPDF]

チケット: S¥7,000 A¥6,000 B¥5,000 C¥4,000 P¥2,500
演奏会お問い合わせ先: TOKYO SYMPHONY チケットセンター TEL:044-520-1511

【道義より】

次の文はコンサートの前、ミューザ川崎で練習を見に来たお客さんのためのもの。


「もっとも有名な第5番がいわば世間常識を意識して「皆さまのため」
に書かれたのに対し、第6番はそれ以前の彼本来の若い自由な
ぶっ飛んだ才能の発露そのままに書かれ、33歳のドミトリー君が直接、
音楽になっている演奏機会の少ない、30数分の(短い)作品。
幻想と孤独に満たされた一楽章が、2、3楽章では先輩の
プロコフィエフやモーツアルト風な響きの中、大好きだったロッシーニ音型
がニヒリスティックに爆発的に表現され、若さの二面性を発散する。
そんな対スターリン社会でもない、対独ソ戦中でもない、一人の抜きん出た若者の
「その時」をオーケストラ全体が愛してやらないとこの曲はつまらなくなってしまう。
真に共感ある演奏によってのみ価値が出る、存在が不安定な曲と思う。
そういう意味で、道義ジジイはかなり緊張しています。
何故か東響の定期演奏会はとても久しぶりで、2年前にプログラムを決めた時から
ずっと楽しみにしていました。
今回マスク世界に関わらず沢山のお客さんがご来場予定のこと,
北村朋幹君のベートーベンと共に集中した時を持てることがとても嬉しいです。


と書いていた。
欲を言えばね......
せっかく「練習を見に」来るのだから三階などでなくオケの後ろの席にはいって、
オケと楽員のやりとりなどがはっきり聞こえ見えると良いのにと思いましたが、
そういうのを嫌がる指揮者、楽員さんもいるのだろう・・・う~~む。


マスク騒ぎにも通じる。

さきほど本番のゲネプロで,クシャミと咳をするマスク楽員さん
(管楽器奏者以外全員マスク)に「ダイジョウブ?」と声をかけたら、
「いえいえ花粉症で・・・」と、
「そうなの??でも花粉のアレルゲンはマスクしてればOKなのでは?」と僕,続けて
「なんだ?花粉がマスクが役に立たないなら、ヴィールスを防備できるはずが
無いのでは・・・」と。
岡部信彦さんはマスクに対してなんだかんだ言う井上に
「マスクは人に対する優しさの表現、そして科学的な根拠のある優しさ」
と言うのだ。
俺は「そうか俺は優しくないし,科学的でもないわけだな」と返したばかりだった。
今回、井上は毎日抗体検査等で、陰性を証明しながらの練習だった。
楽員さんの中には,気にする人もいるのだからそれは良いのだが、僕は数年前の
放射線治療の後遺症のせいだろう、唾液の出にくい喉にマスクして指揮は・・・・
やってみたものの苦しい、暑い、集中力が無くなる・・・のでとても無理だった。
だから説明してなんとかマウスシールドでの練習。
それでも一日目はジジイ三時間ほどで本当に疲れ果ててしまった・・・・が・・・・
先ほどの本番の結果は・・・・・・・・素晴らしかった。
お客さんもかなり平常の状態に戻った数が!!
やはりクラシックはホールで皆と一緒に息をする、聴く、体験をする、事なしには
全く生き残れない。
むかしのカラヤン張りに膨大なコストと時間とをかければ多少は近いものになるが
......でも所詮、偽の体験でしか無い。

コンサートが終わって外で、杖をついた男性の80を越えたお年寄りと遭遇・・・
「もう本当に,楽しかった来て良かった!!!」と言ってくれた。
「一体どうしたのですか?お病気とお見かけするが良くいらっしゃれましたね!」
と僕。
「いや前立腺癌でステージ4で、もうやれることは全部やった。でもコンサートに
来たかった、」と破顔ニコニコ動画状態。
僕は「そりゃ本当に良い生き方!!今という今を生きてますね、これから長くないに
しても、これから苦しみが少ない事を祈る。俺も意味なく長生きはするつもり
無いんです」と互いに握手。ああ!宝。

道義、今日、久しぶりの東響定期でしたが、東響の好調ぶりに拍手です。
コンマスの旧友二キチンの国の音楽だが、普段余り顧みられない6番に道義の長年
の経験など使って一から勉強し直した世界に共感してくれた。
北村君のピアノで、高貴なベートーベンの豊かで古典的な世界にどっぷりつかった後、
もう一人の異端児でもあった超天才の誰にも到達できない音世界が、
現今の同調圧力で疲労した世界に風穴を開けた......と勝手に思って・・・寝る。
お休みナサイ。

そうそう舞台裏にいた楽団の昔ガン柄怒られた頑固親父、金山さんと危険を顧みず?
抱き合った。夢ではないモンネ。



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「今はショスタコーヴィチは僕自身だ! 」と語る井上道義2007年に成し遂げた「ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会at日比谷公会堂」。 日本人指揮者唯一の偉業となる一大プロジェクトをぜひお聴き下さい。

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