群響 第573回定期演奏会

2021.11.20
高崎芸術劇場 大劇場
午後 4時開演(午後 3時開場)

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伊福部昭 : 日本狂詩曲
矢代秋雄 : 交響曲
石井眞木 : 日本太鼓とオーケストラのための「モノプリズム」*

太鼓/林英哲&英哲風雲の会*
群馬交響楽団

チケット: SS席6,500円・S席 5,500円・A席 5,000円・B席 4,000円・C席 3,000円
演奏会お問い合わせ先: 群馬交響楽団 027-322-4316

【道義より】

群響と昭和の音楽コンサート。
普段は19世紀ウィーン後半とか、
アメリカ20世紀の音楽とかだが,その乗り?で
昭和の日本音楽。交差点に裸電球一個とか、赤提灯が並ぶ
怪しげな繁華街にバイオリン弾きながら懐に小銭を貰う
バイオリン弾き、交通は全部止めて櫓を組んで太鼓を叩き
町中で踊るお祭りとか、全く逆にパリで学んだ最新の音楽で
未熟だったクラシック業界と戦ったり、以前は外でしか叩けなかった
大太鼓をコンサートホールに持ち込んでオーケストラと対峙させて
芸術として高めて行こうとしたり・・・・所得倍増時代の元気で
未来ばかりをみていた「俺たちの時代」を、
何処にでも行く前に先が見えちゃうスマホ時代の人たちは
何を思うだろうか??と言うプログラムだ。
経験しに来てみてください。
...............................................
..............................................と

書いて1週間、コンサートは満員御礼で無事終了した。
ボクモフクメテ、メンバー共々ハードなプログラムに
英哲と風雲会の男の身体が観客だけでなく、演奏者も
裏方までもを鼓舞し、2度とない高い境地の時を刻んだのだった。

伊福部の狂詩曲はN響での録画が未だに覚めやらぬ記録としてあるが
多分今日の群響の演奏こそが「あるべきテンポ」だった。
N響の時は僕自身「伊福部さんに言われたテンポ」の束縛があった。
それはそれ。
でも作曲家の思い描いたテンポというものが、ホールの響きや、
オーケストラの個性、長所、短所から生まれる一回性による
そこでの「正しいテンポ」があるというのが「演奏芸術、再現芸術」
のすばらしい所・・・と言ったのは敬愛した師、
セルジュチェリビダケの至言だ。
彼自身その哲学から逸脱してしまったが。

高崎芸術劇場は、観客に満たされてはじめて「正しい響き?」に
なるようで練習をそこで積み重ねることが出来るようになった群響も、アンサンブル金沢や
新日本フィルと並んで理想的な環境にあるオーケストラになったが、
それでも本番でこそその一回性が実現するのだ。観衆はそれだけで
既に生演奏に主体的に参加することになる訳だ。
楽員や指揮者もそこで音神の降臨を待つことになる。

矢代秋雄さんは、僕が15の時ベートーベンのコンチェルト4番を
ピアノの恩師、山岡優子先生のお声がけでオーケストラパートを
弾いていただいた記憶が昨日のことのよう。
あの頃書き上げていた交響曲は超超難曲で、なかなか演奏チャンス
がないが、今回皆めげずにやり遂げた。練習中も積極的に問題点を
指摘する声が色んなパートの首席から上がって来て風通しの良い
オケだった。以前このオケのチェロメンバーだったレオナード
グルチン氏は2007年、僕が日比谷公会堂でショスタコーヴィッチ
交響曲連続演奏会をやった時レニングラードフィルハーモニーを
呼ぶ為に奔走して下さった方だった。
亡くなってから時が過ぎていくが彼は今日もそこに居た。
定年になった楽員さんがチョコレートを知らない間に差し入れして
くれていた。

石井真木のモノプリズム。父親の石井漠が目黒のスタジオで伊福部の
釈迦にバレエが基本だった道義少年からは相当うさんくさい舞踊?の
創作振り付けを見たこともあった。その息子の大向こうをうならせる
作品。76年のタングルウッドでの初演を見学していた俺だが、
個人的には苦い経験を残された小澤征爾さん、、指揮は素晴らしかったし
狂喜して僕にもハグしたレニーのなんか異常な胸の厚さと感情の生々しさ
への違和感が50年を越えて記憶に甦った。
英哲さんも鬼でこ座→鼓童→風雲の会と回を重ねたが、今も青年の趣!!
レニー並みの気分で舞台でハグしちゃった。裸の背中に思いっきり
ウイルスを移したかも!軟弱なコロナウイルスなんかじゃない。
70年間俺の神経細胞に同居していたらしい水疱瘡ウイルス。
そう・・帯状疱疹でこの二週間ヒイヒイ言っていたのだ。
足はびっこ歩き、夜は痛みで目が覚めるのだ。避けられない
共存世界。ひょっとしてまだ専門家さんも知らないウイルスが
人間のDNAに作用して性格や体型を作っていたりして
・・・・・ふふふ。

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