ラ・フォル・ジュルネ

2024.05.01

2005年から始まった「ラ・フォル・ジュルネ」には、塵も積もり東京・金沢・新潟を含めると25回出演して、ナントでも数回指揮をした。

今でも忘れない!東京国際フォーラムでの第1回目の朝、0歳児からのコンサート!
朝の10時開演の公演のため、ゲネプロのため9時に行ったら、なんとすでに台湾のオーケストラがもう自主練習を自分たちの指揮者と復習をやっていて腰が抜けた!
決まりという常識を超えたつもりでいた59歳の道義をぶちのめした。
そして本番は、赤ちゃんの声は5,000人の大きなホールではまるで公園で鳴く鳥の様だったから全く気にならなかった。

そこから、音楽が溢れている都会の東京ではなく「この街のためにこそある音楽祭」だと感じ、ルネ・マルタンに金沢まで来てもらい、2008年からは金沢で「ら・ふぉる・じゅるね」と言う意味の分からないカタカナフランス語が、春の合言葉になった。
いつも少ないと感じているプロオケの練習時間に、輪をかけて短い15分だけのゲネプロには今も素直になれないが、オーケストラ奏者も一人になればソリストなのだから、この条件もクリア出来なければ嘘だと捉えられないことはない。

金沢だけではなく、日本ではびわ湖、新潟、鳥栖にも広がったこの音楽祭。
東京ではディズニーランドに行く人数を越えた。

金沢、びわ湖は、今でもそのノウハウを奪って、自前で音楽祭をやっているがルネ・マルタンが考えるようなメッセージ性のあるものは出来ていない。
ジェネリック薬品のごとく実にアジア的で、「考え方」は哲学、それは人生デザインと同意語という欧米に対して、日本や台湾などの東南アジアは、オリジンの価値を認めず、よく言えば神仏混合の歴史の様に平和的?「目くじらを立てず」自分化しようとしていると言えないことはない。
これからも先取の気概を持って「真正ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」が人々の常識を良い方向に壊していってくれることを望む井上も最後の出演です。

僕自身は、人間の二面性こそが音楽を豊かにすると思うのでどちらも大切に思う。
とはいえ、物事は過去を振り返っても何をやった、こういう考えで生きた、これを求めたという事が記憶を形成するものだ。
理想を言えばルネ・マルタンが5年計画とかをもって緻密に作ってくれたなら良かったと思うが、ラテン系の脳はそうではなかろう。
これからどのようにこの音楽祭がなるかと言えばやはり強いメッセージ性をもって未来を開拓して欲しい。

井上道義


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