2024年度 全国共同制作オペラ [東京] プッチーニ 歌劇『ラ・ボエーム』

2024.09.23
東京都 : 東京芸術劇場 コンサートホール
午後 2時開演

全4幕/イタリア語上演/日本語・英語字幕付き/新制作

[公式サイト] https://la-boheme2024.jp/

キャスト・スタッフ
指揮[Conductor]
井上道義 Michiyoshi Inoue

演出・振付・美術・衣裳[Stage Director, Choreographer, Designer]
森山開次 Kaiji Moriyama

ミミ[Mimì]
(東京・名取・京都)ルザン・マンタシャン Ruzan Mantashyan
(兵庫・熊本・金沢・川崎)[変更後]中川郁文 Eri Takahashi

ロドルフォ[Rodolfo]
工藤和真 Kazuma Kudo

ムゼッタ[Musetta]
(東京・名取・京都)
[変更後]イローナ・レヴォルスカヤ Ilona Revolskaya
(兵庫・熊本・金沢・川崎)
イローナ・レヴォルスカヤ Ilona Revolskaya

マルチェッロ[Marcello]
池内 響 Hibiki Ikeuchi

コッリーネ [Colline]
(東京・名取・京都)
スタニスラフ・ヴォロビョフ Stanislav Vorobyov
(兵庫・熊本・金沢・川崎)
杉尾真吾 Shingo Sugio

ショナール[Schaunard]
(東京・名取・京都)
高橋洋介 Yosuke Takahashi
(兵庫・熊本・金沢・川崎)
ヴィタリ・ユシュマノフ Vitaly Yushmanov

ベノア[Benoit]
晴 雅彦 Masahiko Hare

アルチンドロ[Alcindoro]
仲田尋一 Hirohito Nakata

パルピニョール[Parpignol]
谷口耕平 Kohei Taniguchi

ダンサー[Dancers]
梶田留以 Rui Kajita
水島晃太郎 Kotaro Mizushima
南 帆乃佳 Honoka Minami
小川莉伯 Riku Ogawa

管弦楽[Orchestra]

読売日本交響楽団[東京]
Yomiuri Nippon Symphony Orchestra

仙台フィルハーモニー管弦楽団[名取]
Sendai Philharmonic Orchestra

京都市交響楽団[京都]
City of Kyoto Symphony Orchestra

兵庫芸術文化センター管弦楽団[兵庫]
Hyogo Performing Arts Center Orchestra

九州交響楽団[熊本]
The Kyushu Symphony Orchestra

オーケストラ・アンサンブル金沢[金沢]
Orchestra Ensemble Kanazawa

東京交響楽団[川崎]
Tokyo Symphony Orchestra

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スタッフクレジット Staff Credit

辻 博之[合唱指揮]
Hiroyuki Tsuji, Chorus master

足立 恒[照明]
Hisashi Adachi, Lighting designer

山田晋平[映像]
Shimpei Yamada, Video designer

中村友美[美術コーディネート]
Tomomi Nakamura, Scenery coordinator

林なつ子、朝野なつ美[衣裳コーディネート]
Natsuko Hayashi, Natsumi Asano, Costume coordinators

石原ももこ[メイクコーディネート]
Momoko Ishihara, Make-up coordinator

石丸耕一(東京芸術劇場)[音響]
Koichi Ishimaru, Sound designer

佐藤正浩、粂原裕介、瀬山智博[副指揮]
Masahiro Sato, Yusuke Kumehara, Tomohiro Seyama, Assistant conductors

服部容子[コレペティトア]
Yoko Hattori, Korrepetitor

奥村啓吾、彌六[演出助手]
Keigo Okumura, Miroku, Assistant directors

美木マサオ[振付助手]
Masao Miki, Assistant choreographer

酒井健[舞台監督]
Takeshi Sakai, Stage manager

關秀哉[プロダクションマネジャー]
Hideya Seki, Production manager

阿部太一[広報デザイン]
Taichi Abe, Publicity materials designer

【道義より】

さあ!遂に、終わりが始まった。今日は私の芸劇での最後の音出しでもあった。
今日23日の出来は文句なかった。
初日、前日から俺は喉が焼け、鼻水と咳で「ミミ」並みの苦しさ。歌手でなくて
助かったが、脳味噌も影響があり、右腕は16日まで腱鞘炎で動かなかった。
誰とこのプッチーニをやろうか?ソリストは、本当に択山の人の歌声を色んな方法で
聞きまくった。この時代、資料も外国人からのも手に入り、紙だけでも厚さにして
3センチ近く、それにDVD,CD,youtube。
森山さんは音楽家でないからどうしても役柄にあった体型、顔つき、を求め、
僕は音楽家だから人生最後に、オペラってそんなものとか言う妥協は無しで、
毎日やっても声にほれぼれする歌手との練習を求め、仕事として時間に追われ過ぎず
とことん古典的にしかしユニークな切り口でやろうと合意した。
二人とも外人さんだけが体躯が大きく、他の歌手と並べて見ても声を出しても、
不自然に見えない人を、悩みに悩んで決めたのが去年の夏頃の入院中から。
(やってらんなかった・・こっちは腎臓が傷み、坐骨神経も痛み毎日飯も食えずに
ウンウンヒーヒー。まずい病院食に心も病んでいたのだから。

【全て誰かに全て任せくなった。でも、森山君はどしどし思いもよらないアイディアを
絵に描き模型を手作りして持ってくる。7つのオーケストラのスケジュールも決まって
いた。
今日の大成功は、なんと言っても三十年程前に京都大学のオケを振った頃のまとめ役
だった古屋君、感激屋でコンサートの打ち上げでは声を上げて泣いていた彼が、今は、
兵庫県立音楽センターの責任ある地位に居てこの全国的なまとめるのが超ハードな
世界的にも類のないプロジェクトの、細かくも膨大な事務仕事の要として全身の力を
絞って助けてくれたことが大きい。        
逃げられなかった。
体重は7月にまたもや5キロ失い、皺だらけの恩師斎藤秀雄かとも思える姿が鏡の向こう
からみすぼらしく立ちすくんで迫るが、萎えた脚でも歩けと言われても言われても血液の
炎症反応crpが20辺りを下がらない!ダルすぎて、2軒先のコンビニにも行けない
酷暑だった夏を失った2年間だった。でもそんなことオケにとっても歌手にとっても
お客さんにとっても対岸の火事。
「なるようになるさ」とはいかないラ・ボエーム、指揮者にとって超難曲なのに楽譜を開け
たり、昔の自分の演奏を聴きなおしたり、昔東京文化会館とスカラ座で見たクライバーの
フレニ、ドボルスキーのスカッとした、しかしあまりに早い録画とかでも見直せばいいの
に・・・出来ない・・・ヤル気になれない日々だったのだ。


自宅での初練習の日、老指揮者のブルックナーじゃないのに俺はみっともなくも
「皆さんの力を貸してくれ他力本願だ」
と叫び、ちょこっとだけ指揮してベッドにうずくまるだけの価値のない俺だった。
でも
演出、森山開次の異常な粘り、天才的な舞台も衣装も自力で描く絵画力、歌手たちとの、
飽くことない探究心を、副指揮の粂原と瀬山が超専門的なイタリア語知識で皆に目標を
示してくれた。森山さんは奥村と弥六という演出助手が居て助かったことこの上なかろう
35度越えの毎日、地下の狭い練習場で、誰も音を上げなかった(俺以外)
この奇跡は、デジャブだった。数年前のcorona禍で人との距離が云々という恐怖が
世界中蔓延していた真っ最中、野田秀樹さんとのフィガロの練習は毎日密着、1か月誰も
罹患しなかった。喉が痛いという人さえ皆無だった
(本当は一人だけ毎日床の下で埃にまみれていた舞台さんが怪しかったが)

9月23日の今日、初日と打って変わって何故か元気だった道義、
すべてが見通せたらしい読響(初ラ・ボエーム体験)が
甘く、詩的で、前進的な勢いをもって精緻に(なりすぎないで)演奏!!!した。
百戦錬磨の東フィルもびっくりだったと思う。


猫に化けた本当に小さな、声も演技も頭脳と個性がある、世田谷ジュニア合唱団、
僕たちとなら!と集まってくれた独立した人々の献身的な2幕での合唱のアンサンブル。
等々...(追記!!そうそう、足立恒さんの照明の高品質は、あんまり近い友人なので
書くことさえ忘れていた)衣装、化粧、全て、今の東京の舞台芸術の高まりを経験する
ことが出来た。           じじい道義からお礼します。
そんな舞台、5階で同時開催してくれた写真展(星ひかる監修)を見ていただければ、
現実生活より舞台での虚構の方が人間的かつ自然な事と確信できるかも。


川崎での切符はもうないけれど秋旅希望な方は金沢や名取でもならまだいけるとか。
運が良いことにNHKが2月頃テレビ放映をしてくれます。
今日舞台と客席にいた人は絶対皆ロドルフォだったに違いない!

「私は詩を書いているのです。どうやって生きているかって?
生きてるんです」

日々の自由とはこれがあらわしている、すべてだ。
詩を感じなくなったら死を受け入れるべきだ。


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2024年9月19日、朝日新聞の夕刊にて関連記事が掲載されました。

■朝日新聞デジタル > 記事 > 森山開次「ラ・ボエーム」、出会いは宝 新演出、指揮・井上道義へはなむけ
https://www.asahi.com/articles/DA3S16038485.html

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「今はショスタコーヴィチは僕自身だ! 」と語る井上道義2007年に成し遂げた「ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会at日比谷公会堂」。 日本人指揮者唯一の偉業となる一大プロジェクトをぜひお聴き下さい。

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