井上道義 音楽生活写真展 Voyage ~音楽という名の通行手形~

2024.09.17

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井上道義 音楽生活写真展 Voyage ~音楽という名の通行手形~
https://www.2faithcompany.tokyo/voyage/

2024年末をもって指揮台を降りる井上道義
本展では指揮者である前に舞台人である井上の姿を写真を通して紹介する
道なき道に意義を見出し続けた77年に渡る旅の記録

[入場無料]
2024年9月17日(火)~ 9月29日(日)10時~21時30分 ※最終日まで18時まで ※休室なし
会場:東京芸術劇場(5F)ギャラリー1


協賛
株式会社ザ・インプレサリオ
有限会社ムジカーザ

協力
中央宣伝企画株式会社
公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場

主催
2/FaithCompany

【道義より】

今まで、コンサートのスナップ以外にも僕を撮ってきた星ひかるが「ラ・ボエーム」上演に
合わせて池袋の芸劇ギャラリーで古いアルバムからの写真も含めて、井上道義を知らない人
にも面白そうな写真展を開く。音楽に限らず、生きてきた77年間、取り巻かれた戦争の
無かった奇跡的な時代、全てが愛おしい。

指揮台を降りる??
そうそう最近俺はあまり指揮台を使わなくなって久しい。
よほど大きな編成ならあって当然の指揮台だが、アンサンブル金沢をやった頃からあの
一段高い象徴性を作品が要求していない場合、要らないときも多いと気づいたのが
きっかけだ。そう言う意味では指揮棒も同じだ。必要な時に使えばよい。
民主主義では上手く行かないとき、役割としての独裁を指揮棒をもって裁判官のように
行使するのが指揮者の存在意義。

さて久しぶりに井上の近況を書いておこうと思う。ラ・ボエームの進捗も含めて。

大阪で服部モネとのN響ショスタコが終わった後、40年来の持病の尿路結石の発作が
ジワリと始まり・・ダマしダマしなんとか振り続けたが、遂にサマーミューザでのマーラー
7番の前には食事も体が受け付けなくて、腎臓の炎症反応で恐ろしく怠く、運よく
ジョナサンノット氏に代わってもらったことはすでに書いた。
が、その後なかなか回復せず(若い時と違って)回復の遅さは脳味噌や全ての筋肉、特に
喉が壊滅的。医師に無理を言い転院し、2週間ほど石のレーザー破壊手術を早めてもらい、
やっとこさ予定したラ・ボエームの練習初日を自宅で迎えた。
が・・・・1時間もみんなの前にいるだけでヘトヘト。幸い練習が自宅であったので寝室に
逃げたり出来た。30人以上も来た歌手や関係者にうちのエアコンは役に立たない程だった
が苦し紛れに「野田秀樹流他力本願でやる!」とか狡賢いことを言い
放って始まったがドラマだ!・・・・瓢箪から駒!・・・・多分これがすべてにプラスに
働き、キャストスタッフみんな素晴らしいスピード!3倍速。逆にスローモーションヴィデオ
の様な粘りで演出も音楽も,当初の俺のノー天気な結果の予想より素晴らしいものになって
いる!


怪しい??ならば関係者に聞いてみたらよい。

指揮の粂原と瀬山は、コルペティピアノの服部容子ともどもイタリア語の細かいところ
の修正が重箱の隅まで(いい意味でですよ)掃除できる人々。演出の奥村、彌六はさらに
バイリンガルでオペラの演出はまだ2作目とはいえ、ディテールにこだわる森山開次とは
脇で見ていてもわだかまりゼロ、それぞれの才能の良いところが三重の塔、5重の塔のように
建ち上がって居る。この作品を見ていて、井上の喉につっかえる様な箇所がすべてすべて
素直に呑み込める。飽きそうになるところは、破顔できるアイディアに満ちている。

歌手のオーディションは2年ほど前から、姿形がこの作品にピタリで、「中年のボヘミアン、
デブの肺病病み、脚を見たらがっくりなムゼッタ」とかは論外。声そのものでこそ感動が
あるプッチーニの世界を目指し、若く希望いっぱいで実力を伴う「いま」旬の歌手を
オーディションした内外の歌手だ。
外国歌手たちが(後で気がついた)4人が旧ソヴィエト出身だが、フフフ、みな国から離れて
自分の道を切り拓いている。邦人歌手と解け合う存在感も意識して選んだが、いま
「してやったり!」だ。練習には電車はノー、リムジンで送り迎えでないと嫌だ、みたい
なことを言う植民地主義者はいない。

今練習のちょうど真ん中だがお客さん!!これはぜひ見ておくべき作りです、保証する。
切符は40000円でも良いと思う。ああ、俺が振るから39800円か・・・・。



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ショスタコーヴィチ交響曲全集 at 日比谷公会堂
「今はショスタコーヴィチは僕自身だ! 」と語る井上道義2007年に成し遂げた「ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会at日比谷公会堂」。 日本人指揮者唯一の偉業となる一大プロジェクトをぜひお聴き下さい。

Schedule

降福からの道 欲張り指揮者のエッセイ集
「僕の人生、音楽だけではないが、正面から指揮をやってきたらこれほどの発見があったことに驚いている!」

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