OEK 第487回定期公演マイスター・シリーズ

過酷な作品、過酷なプログラム、と同時にこの「時」に最もふさわしくもあった。
素晴らしい詩作の音楽化に成功した稀有な、秘曲１４番！
演奏会でしか経験できない美しい響きをソロの二人は十全に満足いく声質とドラマチック
な内容を全身で刻みつけ、アンサンブルの中心である弦楽器奏者と共に身が震えるような
パートを受け持つ打楽器奏者たちは、練りに練った翻訳字幕の力を借り、ソヴィエト時代
のロシアの深い芸術に一人一人の観客も自分の生と死を思わずにはいられない５０分
だったはずだ。
その前座なのに、とり？？？のヘテロフォニー！西村朗のヘテロフォニー。
彼の想像、創造、した楽譜を長年培ったミチヨシ流指揮法の助けを借りて、アンカナの
全力投球は、イノウエが「まだまだイケそう」と、誤認させそうな火の玉音響になった
と思う。
更に命縮まったけど、これぞアヴァンギャルドだ。死んでやる。
でもこんな音楽、健康な肉体を持っていないと聴く気にも奏する気にもなれまい。

誤解を覚悟で１４番の俺が一番好きなセリフをここにコピーしておく。

貴様はこの世で最悪の罪人だ
悪魔とはご近所づきあいか
極悪非道を繰り返し
ガキの頃から腐れ切ってた野郎め
一人で魔女の夜会を祝うがいいさ
腐った豚野郎　イスラムの屑
口に出すのも汚らわしい悪夢
めっかちの　腐れ鼻無し野郎
おっかさんが痙攣発作の最中に
お前が生まれたんだろ
いいか　よく見ろ
盗っ人の残忍な極道者め
貴様の顔は傷だらけの膿だらけさ
この馬のケツ　豚ッ鼻野郎
いくら探し回ったって
貴様につける薬なんざ　ねェよ！

コンサートの後、センスの良い綺麗な花束を渡され、美人やそうでない人にも涙があり
長年のファンの皆さんと短い別れの会があり、極悪非道の指揮者は有終の美を飾ったさ。