日曜のない思い出

2025.01.12

(日曜に想う)失われゆく故郷「僕は諦めない」 編集委員・吉田純子:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/DA3S16124472.html

【道義より】

日曜日か・・。引退してからはさらに曜日感覚が無い。
が、実は音楽をやっていたせいか長年、曜日感覚が薄かった。突然人出が有ったり、
食べに入ろうとしたレストランが一杯で、あっ!金曜夜なんだとか、
空いた高速道路であっ!日曜夜だなとか、だった。
コンサートは土日に多いが最近は平日でも午後のコンサートも増えていたし。
ヨーロッパに居ると店がほとんど閉まるので否応なしに意識するが日本もアジアも
それもない。
学生の頃は、斎藤先生は日曜日に指揮のクラスが(学校内で)あるし金、土、は
学内オーケストラの練習で緊張が続き、休みは全くなかったし。まずいのは
システム手帳は週が月曜から始まるのに、何故か子供の頃から日月火水木金土
と数える癖が抜けなくてずっとずっと書き間違えや憶え間違えに明け暮れた
一生だったのだ。


「日曜に想う」という朝日新聞の記事に冬木透さんの事を引用してあって
また驚かされたのだ。12月31日の読売新聞の批評文の真下に冬木透さんの訃報が
見つかり非常に驚いたばかりだったのに・・・。
冬木透さんは僕にとってはウルトラセブン・セブン・セブンとかではなく桐朋の
作曲の先生で蒔田先生なんだから。僕には一度赤ちゃんが生まれた時に伺った
時の「なんて美人の奥さんなんだ!」という印象の方が強かったし、あの頃、
作曲は難しくって進まず「こんなんじゃプロとして食っていけるわけがない」と
(本物は書く速さでもすごいことを知っていたから)作曲は早々に諦めて
(指揮者になりたかったわけだし)いたが、50歳ごろになって久々の同窓会で
お会いしたとき「君さあ・・作曲はやらないの?」と言われて
「かくかくしかじかで無理と思ったので」と弁明したら「何言ってんだ、すごく
面白いもの書いていたじゃないかよ」と言われて大いに反省したのを激しく思い出す。


あの反省と積年の何かを残したい願望が一昨年のオペラ「降福からの道」
の完成に繋がったと思う。当然10年以上かかってしまったけれど。
蒔田先生本当にありがとう!
新聞の記事での偶然には本当に・・とても参った・参った・参った!!
しかし先生が居なかったら引退しなかったのか・・・いやあどうなんだろう?

お正月に電球を変えようと高いところからバランスを崩して落ち、
首の神経をやられ今大変なことになっている指揮者の秋山和慶さんも高校生の頃には
丁寧に沢山教えてもらった「先生」なのだ。
一昨年、先生がみんなと会いたがっていると聞いて、大友直人君に音頭を取って
もらって桐朋の門のすぐ外のレストランで沢山の指揮科の同窓会?をやって
よかったと、今、思った。話題はあの頃の桐朋の勢いについての思いばかりだった。
パソコンもスマホも無く、その場での話と本からの知識がすべてだったし、
新聞も新聞配達の少年のアルバイトだった。
手紙でいろいろのことを書くのが字が汚い僕には辛いことだった。
俺の作曲の音符も汚いし。今は日曜大工並みの俺が作曲をしたり、こういう文
を書いたり、世界中の事だが・・・ずるい・・・と思う。



  ここでブログに載せようというところでテノールの佐野成宏さんが亡くなったとの報。
何度も共演したが全盛期の彼の甘い魅力に勝る日本のtenorは藤原義江以来まだ
いない。昨年のラ・ボエームの時にも練習に来てくれて、同じテナーの工藤和真君は
「素晴らしい‼アクートがとてもイイ」と言ってもらって自信の一つになったりした。
一線での歌手としてのキャリアが比較的短かったのは、「才能」を育て、大事に
花開かせるもう一人の自分と、真の意味の周囲のサポートがもっと有ったら、と思う
・・・僕も含めて。

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ショスタコーヴィチ交響曲全集 at 日比谷公会堂
「今はショスタコーヴィチは僕自身だ! 」と語る井上道義2007年に成し遂げた「ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会at日比谷公会堂」。 日本人指揮者唯一の偉業となる一大プロジェクトをぜひお聴き下さい。

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